なぜ気づかない?
〜真夏のアスファルトで犬を歩かせる飼い主たちへ〜
この夏も、気温35度を超える猛暑日が続いています。
私が暮らす町でも、日中に外へ出るとまるで熱風を浴びているかのよう。
そんな中、先日、ある光景に胸が苦しくなりました。
午後2時。陽の光がギラギラと照りつける中、
まだ若そうな飼い主が、チワワを連れて散歩をしていたのです。
見ていてつらくなる「灼熱の散歩」
犬はハアハアと舌を出して息も絶え絶え。
その歩く足元には、火傷寸前のアスファルト。
飼い主はスマホを見ながら、犬の様子には気づいていない様子でした。
思わず声をかけようかと思いました。
でも、相手の反応や状況もあり、ぐっと言葉を飲み込みました。
代わりにこうして、文章という形で問いかけたいのです。
「あなたの足裏は、アスファルトの上を裸足で歩けますか?」
「自分の子どもだったら、その時間に外に連れ出しますか?」
犬は人間よりずっと暑さに弱い
犬は全身を毛に覆われています。
しかも人間のように汗をかいて体温を下げることができません。
体温調整は、主に「舌を出してハアハアする」=パンティングという方法に頼っています。
つまり、人間よりもずっと熱中症になりやすいのです。
さらに、地面との距離が近い犬は、照り返しの熱を直接浴びるため、
地表温度が40〜60度になるような日には、火傷や脱水、最悪の場合「熱射病」で命を落とすこともあるのです。
アスファルトの温度は「想像以上」
実際に真夏の日中、アスファルトの表面温度を計測したことがあります。
- 気温35度の日のアスファルト → 55〜60度
- 午前10時でも → すでに40度を超えることが多い
この温度、目玉焼きが焼けるレベルだといえば、その危険性がわかるでしょうか?
私たち人間は靴を履いているから気づかない。
でも、犬の肉球は裸足と同じ。
火傷しても、吠えて訴えるわけでもなく、じっと我慢しているのです。
「犬は散歩が好き」という思い込み
よく言われます。
「犬は散歩が好きだから、連れて行かないとかわいそう」
「うちの子は元気だから大丈夫」
「短時間だけだし…」
でも、本当に犬の気持ちを考えているのでしょうか?
本来、散歩は運動や刺激のための楽しい時間のはず。
それが「命を削る行為」になってしまっては、本末転倒です。
暑さの中で無理に歩かせることは、
犬の健康にとって、虐待と紙一重になってしまうこともあります。
今すぐできる、愛犬への思いやり
✅ 散歩は「早朝」か「日が落ちた後」に
→ 朝5〜7時/夜7時以降が目安
✅ 地面を手で触って確かめる
→ 5秒触れないなら犬には危険
✅ アスファルトではなく「芝生」や「土の道」へ
→ 肉球のダメージを最小限に
✅ 時には散歩を「休む」勇気も
→ 部屋遊びや知育トイで代替可能
おわりに:散歩は「愛情のかたち」であってほしい
私もかつて、犬を飼っていた経験があります。
愛犬「りん(チワワ)」と暮らした日々は、今も人生の宝物です。
だからこそ思います。
「散歩」は、飼い主の自己満足のためではなく、
犬の幸せのためであってほしい。
犬は文句も言わず、ただ私たちのそばにいてくれます。
その無言の信頼に、私たちが応えるべきなのではないでしょうか。
次回予告:「犬の洋服、本当に必要?──可愛さと快適さの間で」
次回は、犬に服を着せる行為について、
「かわいい」だけでは済まない配慮のあり方を掘り下げていきます。