煩悩は生きている証

公園を愛犬と散歩するシニア夫婦

人間らしさを支えるエネルギー

「煩悩」と聞くと、なんだかお堅い言葉のように思えますよね。お寺の鐘の音とともに108の煩悩が説かれる大晦日を思い出す人も多いかもしれません。でも、少し見方を変えてみると、煩悩はとても身近なもの。実は、毎日の暮らしの中で私たちを動かしている原動力でもあるのです。

たとえば「おいしいものが食べたい」という気持ちも煩悩のひとつ。でもそのおかげで食文化は豊かになり、家族や友人との食事の時間も生まれます。「もっと便利に暮らしたい」という欲もそう。人はその気持ちに突き動かされ、さまざまな道具や仕組みを発明してきました。恋愛や家族を大切に思う心もまた、煩悩の表れ。でもそれがあるからこそ、人は支え合い、命をつないできたのです。

もちろん、煩悩に振り回されすぎると、苦しみやトラブルも生まれます。欲が強すぎれば他人を押しのけてしまうし、嫉妬にとらわれれば心は不安定になります。だからこそ大事なのは、煩悩を「消そう」とするのではなく、「ほどよく付き合う」こと。いわば、手綱を握りながら一緒に走るような感覚です。

たとえば、嫉妬心を「いやだな」と思うだけで終わらせず、「自分も成長したいという気持ちの裏返しかも」と考え直してみる。怒りに任せて言葉をぶつける代わりに、「この気持ちをどう建設的に使えるだろう」と立ち止まってみる。そんなふうに、煩悩を自分の中の「小さな先生」として受け止めてみると、人生は少しずつ楽になるのではないでしょうか。

煩悩を「人間らしさの一部」として肯定的にとらえながら、どうやって日々の生活に役立てていけるかを考えていきたいと思います。煩悩を笑い飛ばす視点、上手につきあう工夫、そして時に立ち止まって見つめ直す知恵──そんな話題を皆さんと分かち合っていけたら嬉しいです。

煩悩は、なくしてしまうものではなく、人生を味わい深くしてくれるスパイスのようなもの。あなたは、どんな煩悩と仲良くつきあっていきたいですか?

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