「健康的な食事をしているつもりなのに、なぜか体調がすぐれない」「ダイエットを頑張っているのに痩せない」──そんな悩みを抱えていませんか?
巷には食事に関する情報が溢れていますが、何が本当に正しいのか分からなくなることも多いですよね。朝食は食べるべき?糖質制限は効果的?カロリーを気にすれば大丈夫?
そんな疑問に、医学的根拠をもとに明確な答えを示してくれるのが、牧田善二医師の『医者が教える食事術 最強の教科書』です。今回は、この本が教えてくれる科学的に正しい食事の知識と、それを日常生活でどう実践できるかをご紹介します。
書籍の基本情報
書籍名: 医者が教える食事術 最強の教科書
著者: 牧田善二(まきた ぜんじ)
出版社: ダイヤモンド社
出版年: 2017年
ページ数: 約280ページ
価格: 1,650円(税込)
著者プロフィール:
牧田善二医師は、AGE牧田クリニック院長で、糖尿病専門医として20万人以上の患者を診てきた実績を持つ医師です。特に血糖値と健康の関係について深い知見を持ち、医学的エビデンスに基づいた食事指導を提供しています。
本書は、発売以来70万部を超えるベストセラーとなり、多くの読者の食生活を変えるきっかけとなりました。医師が臨床現場で得た知見を、一般の人にも分かりやすく解説している点が、大きな支持を集めている理由です。
本書が覆す食事の常識とその根拠
この本の最大の特徴は、私たちが「常識」と思っていた食事の知識を、医学的根拠をもとに覆していくところにあります。
例えば、「朝食は必ず食べるべき」という常識。本書では、空腹でないのに無理に朝食を食べる必要はないと説明されています。大切なのは食事の回数ではなく、血糖値を急激に上げない食べ方だと。私も長年、「朝食抜きは体に悪い」と信じていましたが、この本を読んで、自分の体の声に耳を傾けることの大切さを学びました。
また、「カロリーを減らせば痩せる」という考え方も、実は単純すぎると指摘されています。重要なのはカロリーよりも血糖値の上昇を抑えること。同じカロリーでも、血糖値を急上昇させる食品と緩やかに上げる食品では、体への影響が全く違うんですね。この「血糖値コントロール」という視点が、本書を貫く最も重要な概念です。
さらに、「果物は健康にいい」という常識も、実は注意が必要だと説明されています。果物に含まれる果糖は、実は血糖値を上げにくい代わりに、直接内臓脂肪になりやすいという特性があるそうです。こうした科学的な説明が、豊富なデータとともに示されているので、非常に説得力があります。健康のためと思って毎日果物をたくさん食べていた私にとって、これは大きな発見でした。
血糖値コントロールが健康の鍵である理由
本書の核心は、すべての不調は血糖値の乱高下から始まるという考え方です。では、なぜ血糖値がそれほど重要なのでしょうか。
血糖値が急上昇すると、それを下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されます。このインスリンには、余った糖を脂肪として蓄える働きがあります。つまり、血糖値の急上昇は、肥満の直接的な原因なんです。しかも、インスリンが過剰に分泌され続けると、細胞がインスリンに反応しにくくなり、最終的には糖尿病につながります。
さらに、血糖値の乱高下は、疲労感、眠気、イライラ、集中力の低下などの原因にもなります。昼食後に急激に眠くなるのは、単に満腹だからではなく、血糖値が急上昇してその後急降下している証拠なんですね。私も以前は、午後になると決まって強い眠気に襲われていましたが、食事の仕方を変えてから、その悩みがほぼなくなりました。
本書では、血糖値を安定させるための具体的な方法が数多く紹介されています。例えば、「食べる順番を変える」というシンプルな方法。野菜などの食物繊維を最初に食べることで、その後に入ってくる糖の吸収を緩やかにできる。「ベジファースト」という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、その科学的根拠がしっかり説明されているので、納得して実践できるのがこの本の強みです。
今日から実践できる具体的な食事術
理論を理解しても、実践できなければ意味がありません。本書の優れた点は、日常生活ですぐに取り入れられる具体的なテクニックが満載なことです。
まず、「糖質ちょいオフ」という考え方。極端な糖質制限ではなく、日常の糖質を少し減らすだけで効果があるという実践的なアプローチです。例えば、ご飯の量を今までの8割にする、パンを食べる時は全粒粉パンを選ぶ、麺類を食べる時は野菜も一緒にたっぷり食べる──こうした小さな工夫の積み重ねが、大きな変化を生むんです。私も、完全に糖質を断つのは難しいと感じていたので、この「ちょいオフ」という考え方はとても実践しやすかったです。
次に、「間食の選び方」。どうしてもお腹が空いた時、菓子パンやスナック菓子ではなく、ナッツやチーズ、ゆで卵などを選ぶ。これらは血糖値を上げにくく、かつ満腹感も得られます。本書では、「おやつを我慢する」のではなく、「賢く選ぶ」という視点を提供してくれるので、ストレスなく続けられます。
**そして、「外食での工夫」**も詳しく説明されています。忙しい現代人にとって、外食を完全に避けるのは現実的ではありません。でも、定食を頼む時はご飯を少なめにしてもらう、丼ものより定食を選ぶ、揚げ物より焼き物や蒸し物を選ぶ──こうした選択で、外食でも血糖値をコントロールできるんです。この実践的なアドバイスが、日々の生活で本当に役立っています。
現代社会での応用とライフスタイルへの統合
この本の知識は、様々なライフステージや状況で応用できます。
働き盛りのビジネスパーソンにとって、本書の知識は仕事のパフォーマンス向上に直結します。血糖値を安定させることで、午後の眠気や集中力の低下を防げます。私の同僚は、この本を読んでランチの内容を変えたところ、「午後の会議で眠くならなくなった」と驚いていました。エネルギーレベルが安定することで、仕事の質も向上するんですね。
ダイエット中の方にとっても、本書は強力な味方です。単なるカロリー制限ではなく、血糖値コントロールという科学的アプローチで、無理なく健康的に痩せられます。しかも、我慢やストレスが少ないので、リバウンドのリスクも低い。食べてはいけないものを挙げるのではなく、どう食べるかに焦点を当てているのが、継続しやすい理由です。
健康診断で血糖値が気になり始めた方には、特に読んでいただきたい内容です。糖尿病予備軍の段階で食生活を見直せば、本格的な糖尿病を防げる可能性が高まります。本書は予防医学の観点から、今から始められる具体的な対策を教えてくれます。
子育て中の親御さんにとっても、子どもの食事を考える上で有益な情報が満載です。成長期の子どもにも、血糖値の急上昇は良くありません。おやつの選び方、食事の順番、糖質との付き合い方──これらの知識は、家族全員の健康を守る財産になります。
この本をおすすめしたい方
『医者が教える食事術 最強の教科書』は、以下のような方に特におすすめです。
・健康診断の数値が気になり始めた方
血糖値、中性脂肪、コレステロールなどの数値改善のヒントが得られます。
・ダイエットに何度も失敗してきた方
カロリー制限や極端な糖質制限ではない、持続可能な方法を学べます。
・疲れやすい、集中力が続かないと感じている方
血糖値の乱高下が原因かもしれません。エネルギーレベルを安定させる方法が分かります。
・家族の健康を守りたい方
科学的根拠に基づいた食事の知識で、家族の食生活を改善できます。
・食事に関する正しい知識を身につけたい方
巷に溢れる情報に惑わされず、医学的に正しい知識を得られます。
本書は専門用語も分かりやすく説明されており、医学的な知識がない方でも理解しやすいのが魅力です。また、「これはダメ」「あれもダメ」という禁止事項ばかりではなく、「こうすればいい」という前向きな提案が多いので、読んでいて気持ちが暗くなりません。
私自身、この本に出会って食生活が大きく変わりました。完璧にすべてを実践できているわけではありませんが、血糖値を意識するという視点を持っただけで、日々の選択が変わりました。体調も良くなり、食事に対する不安や迷いが減ったのが、何より大きな収穫です。
関連書籍5冊のご紹介
本書と合わせて読むと、さらに理解が深まる関連書籍をご紹介します。
- 『「空腹」こそ最強のクスリ』(青木厚著、アスコム)
オートファジーの観点から、16時間の空腹時間を作ることの効果を説明。本書の血糖値コントロールと相性の良いアプローチです。 - 『医者が教える食事術2 実践バイブル』(牧田善二著、ダイヤモンド社)
本書の続編。より具体的なレシピや実践方法が紹介されており、日々の食事に直接活かせます。 - 『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介著、東洋経済新報社)
ハーバード大学での研究をもとに、科学的エビデンスのある食事法を解説。客観的なデータに基づいた情報が得られます。 - 『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治著、サンマーク出版)
食事と並んで重要な睡眠について。良質な睡眠は血糖値コントロールにも関係しており、総合的な健康管理に役立ちます。 - 『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』(奥田昌子著、幻冬舎)
日本人の体質に特化した内臓脂肪対策。本書と組み合わせることで、より効果的なアプローチが可能になります。
まとめ
『医者が教える食事術 最強の教科書』は、医学的根拠に基づいた、実践的な食事の知識を提供してくれる一冊です。
血糖値コントロールという明確な軸があるため、情報が整理されていて理解しやすく、何より日常生活ですぐに実践できる具体的な方法が満載です。極端な制限ではなく、賢い選択と小さな工夫の積み重ねで、健康的な食生活を実現できる──そんな希望を与えてくれます。
健康は一日にして成らず、でも今日からの小さな選択の積み重ねで、確実に変わっていきます。この本は、その最初の一歩を踏み出すための、信頼できるガイドブックとなってくれるはずです。
あなたの食事が、あなたの未来を作る。その未来をより良いものにするために、この本から学んでみませんか。

