「健康のために」と思って食べているものが、実は体を壊しているとしたら――そんな衝撃的な事実を、あなたは受け入れられますか。
毎日のパン、料理に使う植物油、朝食のヨーグルト、疲れたときの甘いもの。私たちが当たり前のように口にしているこれらの食品が、実は現代人の様々な不調の原因になっているかもしれません。吉野敏明氏の『四毒抜きのすすめ』は、小麦・植物油・乳製品・甘いものという「四毒」を食生活から抜くことで、驚くほど体調が改善されることを示した話題作です。
「13kgやせた!」「不眠症が3日で治った!」「高血圧・高血糖が改善!」という驚きの体験談が続々と寄せられ、発売前から大きな注目を集めました。この本は、日本人が本来持っていた健康的な食生活を取り戻すための、実践的なガイドなのです。
書籍の基本情報
- 書籍名: 四毒抜きのすすめ 小麦・植物油・乳製品・甘いものが体を壊す
- 著者: 吉野敏明(よしの・としあき)
- 出版社: 徳間書店
- 発行年: 2025年6月
- ページ数: 224ページ
- 定価: 1,870円(税込)
- ジャンル: 身体実践学、健康、食事法
著者の吉野敏明氏は、銀座エルディアクリニック院長。歯科医師・歯周病専門医、歯学博士であり、鍼灸漢方医の家系11代目という経歴を持ちます。YouTubeフォロワー48万人を誇る人気チャンネルで、医療や健康について発信を続けています。
小麦が免疫を狂わせるメカニズム
第1章では「小麦」が免疫を狂わせる仕組みが解説されています。パン、パスタ、ラーメン、うどん――私たちの食生活に深く浸透している小麦製品。しかし、吉野氏は小麦に含まれるグルテンが、様々な健康問題を引き起こしていると警鐘を鳴らします。
グルテンは、腸の粘膜に炎症を引き起こし、腸内環境を悪化させます。その結果、栄養の吸収が妨げられるだけでなく、免疫システム全体が狂い始めるのです。アレルギー、自己免疫疾患、慢性的な疲労感――これらの多くが、実は小麦の摂取と関連している可能性があります。
特に現代の小麦は、品種改良が進み、昔の小麦とは全く別物になっています。収穫量を増やすため、グルテン含有量が高められた品種が主流になった結果、私たちの体が対応しきれなくなっているのです。「パンは腹持ちがいい」と感じるのは、実はグルテンが胃腸に負担をかけ、消化に時間がかかっているだけかもしれません。
吉野氏の説明は、医学的な根拠に基づきながらも、専門用語を避けてわかりやすく書かれています。「最近なんとなく調子が悪い」「疲れが取れない」「肌荒れが治らない」。そんな悩みを抱えている方は、まず小麦を疑ってみる価値があります。実際、小麦を抜いただけで、長年の不調が嘘のように消えたという体験談も数多く報告されているのです。
植物油と乳製品の見過ごされた危険性
第2章では「植物油」が血管と神経を壊す、第3章では「乳製品」ががんを呼ぶという衝撃的な内容が展開されます。
「植物油は体にいい」というイメージを持っている人は多いでしょう。しかし吉野氏は、サラダ油やキャノーラ油などの精製植物油が、実は血管や神経に深刻なダメージを与えていると指摘します。これらの油は製造過程で高温処理され、トランス脂肪酸や過酸化脂質を含む可能性があります。
特に問題なのが、オメガ6系脂肪酸の過剰摂取です。現代の食生活では、オメガ6とオメガ3のバランスが大きく崩れており、これが慢性炎症の原因になっています。血管の老化、動脈硬化、神経系の疾患――これらの背景に、植物油の過剰摂取があるというのです。
乳製品については、さらに意外な事実が語られます。「牛乳は完全栄養食品」「カルシウムが豊富」というイメージとは裏腹に、乳製品が実は様々な健康リスクを抱えていると吉野氏は説明します。特に大人になってからの乳製品摂取は、消化器系への負担が大きく、また乳製品に含まれる成長因子が、場合によっては細胞の異常増殖を促す可能性も指摘されています。
「ヨーグルトで腸活」「チーズでタンパク質補給」――良かれと思ってやっていた習慣が、実は体に負担をかけていたかもしれない。この気づきは、多くの読者に衝撃を与えるでしょう。しかし、吉野氏の語り口は決して恐怖を煽るものではなく、科学的な根拠に基づいた冷静な警告なのです。
砂糖の依存性と脳への影響
第4章では「砂糖」が脳を狂わせ依存を作るというテーマが掘り下げられます。四毒の中でも、最も手強い相手が「甘いもの」かもしれません。
砂糖は、脳内で麻薬に似た反応を引き起こします。甘いものを食べると一時的に幸福感が得られますが、それはドーパミンが大量に放出されるからです。しかし、その快楽は長続きせず、すぐにまた欲しくなる。これが砂糖の依存性のメカニズムです。
吉野氏は、現代人の多くが「砂糖中毒」に陥っていると指摘します。イライラ、集中力の低下、感情の不安定さ――これらの症状の多くが、実は血糖値の乱高下と関連しています。砂糖を摂取すると血糖値が急上昇し、その後急降下する。この繰り返しが、心身に大きなストレスを与えているのです。
また、砂糖は肥満の原因になるだけでなく、糖尿病、心疾患、さらには認知症のリスクも高めます。「甘いものは別腹」「疲れたときは甘いもの」という習慣が、実は健康を蝕んでいる可能性があるのです。
しかし、だからといって人工甘味料に頼るのも問題だと吉野氏は警告します。人工甘味料は砂糖よりカロリーが低いかもしれませんが、腸内細菌に悪影響を与え、かえって食欲を増進させる可能性があります。本当に必要なのは、甘味への依存から脱却することなのです。
では何を食べれば健康になるのか
四つの毒を抜くとして、では一体何を食べればいいのでしょうか。第5章では「では何を食べれば健康になるのか?」という、最も重要な問いに答えが示されます。
吉野氏が推奨するのは、日本の伝統的な食事への回帰です。米、魚、野菜、発酵食品――私たちの祖先が何千年も食べてきた、シンプルな和食こそが、最も理想的な食事だというのです。これは単なる懐古趣味ではなく、日本人の体質に最も適した食事法なのです。
具体的には、主食を白米や玄米にし、タンパク質は魚や卵、豆類から摂取する。油は控えめに、使うなら亜麻仁油やえごま油などのオメガ3系を。乳製品の代わりに、味噌や納豆などの発酵食品を。甘味は果物や自然な甘さから得る。この食生活が、四毒を自然に避けることにつながるのです。
また、吉野氏は「完璧を目指さない」ことの大切さも説きます。すべてを一気に変える必要はありません。まずは一つずつ、できることから始める。朝食のパンをご飯に変える。料理油をオリーブオイルに変える。甘いお菓子を果物に変える。こうした小さな変化の積み重ねが、やがて大きな健康改善につながるのです。
実際、四毒抜きを実践した人たちからは、驚くべき報告が寄せられています。体重が自然に減った、肌が綺麗になった、アレルギー症状が改善した、よく眠れるようになった――こうした変化が、薬を使わず、食事を変えるだけで起こるのです。
現代社会での四毒抜き実践法
では、忙しい現代生活の中で、どうやって四毒抜きを実践すればいいのでしょうか。吉野氏の提案は、決して厳格なものではなく、現実的で続けやすい方法です。
まず、「80対20の法則」を意識すること。完璧に四毒を避けるのは難しいかもしれません。でも、8割を四毒抜きの食事にできれば、2割は多少ゆるくてもいい。この柔軟性が、長く続けられる秘訣です。外食や付き合いでどうしても四毒が入ってしまうときは、「今日だけ」と割り切って、翌日からまた戻せばいい。
次に、「置き換え」の発想です。パンをやめるのが辛いなら、米粉パンやおにぎりに。パスタが食べたいなら、しらたきや春雨で代用。甘いものが欲しいなら、果物やさつまいもを。こうした工夫次第で、満足感を保ちながら四毒を減らせるのです。
また、家族との食卓も大切にしましょう。一人だけ極端に違う食事をすると、続きにくくなります。家族みんなで少しずつ和食を増やしていく。そうすることで、自然と四毒が減っていきます。子どもの頃から四毒の少ない食事に慣れておくことは、将来の健康への大きな投資にもなります。
さらに、自炊の習慣をつけることも重要です。外食や加工食品には、知らず知らずのうちに四毒がたくさん含まれています。週に数回でも自分で料理することで、何を食べているかコントロールできるようになります。難しい料理は必要ありません。ご飯と味噌汁、焼き魚や卵焼き。そんなシンプルな食事で十分なのです。
どんな方に読んでもらいたいか
『四毒抜きのすすめ』は、健康に関心のあるすべての方に読んでいただきたい一冊です。
特に、原因不明の体調不良に悩んでいる方。病院に行っても「異常なし」と言われるのに、なんとなく調子が悪い。疲れが取れない、眠れない、頭痛がする、肌荒れが治らない。そんな「なんとなく不調」の原因が、実は食事にあるかもしれません。四毒抜きは、薬に頼らず体を根本から整える方法です。
また、生活習慣病が気になる方にも。高血圧、高血糖、脂質異常――これらの数値が気になり始めたら、薬を飲む前に、まず食事を見直してみませんか。四毒を減らすだけで、驚くほど数値が改善する可能性があります。
子育て中のお父さん、お母さんにも強くおすすめします。子どもの食生活は、将来の健康を左右します。アレルギーや発達の問題に悩んでいるなら、四毒抜きを試してみる価値があります。家族みんなで健康的な食習慣を身につけることが、最高の教育になるのです。
そして、健康寿命を延ばしたいシニア世代にも。年齢を重ねても元気でいるためには、体に負担をかけない食事が大切です。四毒抜きは、難しいことをする必要がありません。むしろ、昔ながらの和食に戻るだけ。その懐かしい味が、若々しい体を保つ秘訣になるのです。
関連書籍5冊紹介
四毒抜きの理解を深め、健康的な食生活を実践するための関連書籍を紹介します。
1. 『四毒抜き実践ガイド』(吉野敏明、吉野純子著、扶桑社)
本書の実践版として出版されたムック本。より具体的なレシピや献立例が豊富に掲載されており、「何をどう食べればいいか」が一目でわかる構成になっています。写真も多く、料理が苦手な方でも取り組みやすい内容です。『四毒抜きのすすめ』と併せて読むことで、理論と実践の両面から理解が深まります。
2. 『医者が教える食事術 最強の教科書』(牧田善二著、ダイヤモンド社)
糖尿病専門医が、血糖値の観点から最新の栄養学を解説したベストセラー。糖質の危険性について詳しく書かれており、四毒の一つ「甘いもの」がなぜ体に悪いのかが、医学的根拠とともに理解できます。データも豊富で、説得力のある内容です。
3. 『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(本間良子、本間龍介著、アスコム)
夫婦で医師として活動する著者たちが、グルテンフリーの重要性を説いた一冊。小麦が引き起こす様々な健康問題を、臨床例を交えながらわかりやすく解説しています。四毒の中でも特に小麦について深く学びたい方におすすめです。
4. 『体が生まれ変わる「ケトン体」食事法』(白澤卓二著、三笠書房)
脳科学者が提唱する、糖質制限とケトン体を活用した食事法。四毒抜きと共通する部分が多く、なぜ糖質を減らすことが健康につながるのか、科学的メカニズムから理解できます。認知症予防の観点からも注目されている内容です。
5. 『新しい食の常識』(江部康二著、PHP研究所)
糖質制限の第一人者が、食の常識を覆す一冊。「健康にいい」と信じられてきた食品が、実はそうでないかもしれないという気づきを与えてくれます。エビデンスに基づいた情報が豊富で、食に対する見方が大きく変わる本です。
まとめ
『四毒抜きのすすめ』は、私たちの食生活に潜む見えない危険を明らかにし、健康を取り戻すための具体的な方法を示してくれる一冊です。小麦、植物油、乳製品、甘いもの――この四つを減らすだけで、驚くほど体調が改善する。その事実は、多くの実践者の体験が証明しています。
吉野敏明氏の語り口は、決して押し付けがましくありません。「こうしなければならない」ではなく、「こうすると体が楽になりますよ」という優しい提案。医学的な根拠を示しながらも、専門用語を避け、誰にでもわかる言葉で説明してくれます。
現代社会は便利になった一方で、私たちの体に合わない食品が溢れています。戦後、急速に欧米化した食生活は、日本人の体質に必ずしも適していなかったのかもしれません。四毒抜きは、日本人が本来持っていた健康的な食生活を取り戻す試みなのです。
完璧を目指す必要はありません。できることから、少しずつ。パンをご飯に変える、揚げ物を減らす、お菓子を果物に変える。そんな小さな一歩が、あなたの人生を変える大きな変化の始まりになるかもしれません。
もしあなたが、健康で長生きしたいと願うなら。もし、原因不明の不調に悩んでいるなら。もし、家族の健康を守りたいと思うなら。この本を手に取り、四毒抜きを試してみてください。あなたの体が、きっと答えてくれるはずです。

