PR

「石津朋之」クラウゼヴィッツ研究で戦略を解く

赤ちゃんと子犬 国家安全保障論の著者
この記事は約12分で読めます。
記事内に広告が含まれています。

クラウゼヴィッツの『戦争論』を日本に正しく伝える第一人者、石津朋之。防衛省防衛研究所で30年以上にわたり軍事史・戦略研究に従事し、世界の戦略思想を日本の安全保障政策に活かすことに人生を捧げてきました。難解で知られる『戦争論』を分かりやすく解説し、『戦略論大系』『10人の思想家から学ぶ軍事戦略入門』など数々の名著を世に送り出してきた石津の仕事は、学問と実践を架橋する営みです。戦略とは何か、戦争とは何か、安全保障とは何か。古典的名著を現代の文脈で読み解き、日本が直面する課題への処方箋を示す。石津の研究は、象牙の塔に留まらず、自衛隊幹部、政策立案者、そして一般市民に向けて、戦略的思考の重要性を訴え続けています。厳しい安全保障環境にある日本にとって、石津の知見はかけがえのない智慧の源泉なのです。


著者の基本情報

石津朋之(いしづ・ともゆき)

  • 生年:1960年代(詳細非公開)
  • 出身地:(詳細非公開)
  • 学歴:同志社大学法学部卒業、防衛大学校教授を経て
  • 経歴:防衛省防衛研究所戦史研究センター戦争史研究室長(30年以上在籍)
  • 専門:軍事史、戦略研究、クラウゼヴィッツ研究
  • 主な業績:『戦略論大系』シリーズ編著、日本クラウゼヴィッツ学会での中心的役割、防衛大学校や各種研究機関での講義
  • 主な翻訳・監訳:『戦略論』『補給戦』『10人の思想家から学ぶ軍事戦略入門』ほか多数
  • 活動:防衛研究所での研究、大学での講義、自衛隊幹部への教育、一般向け著作・講演

石津朋之は、同志社大学で法学を学んだ後、防衛省防衛研究所に入り、軍事史と戦略研究に従事してきました。30年以上にわたり防衛研究所に在籍し、戦史研究センター戦争史研究室長として、日本の安全保障政策に学術的基盤を提供してきました。クラウゼヴィッツ研究の第一人者として国際的にも知られ、日本クラウゼヴィッツ学会で中心的な役割を果たしています。


クラウゼヴィッツ研究の第一人者 戦争論を現代に活かす

石津朋之の研究の核心は、プロイセンの軍事思想家カール・フォン・クラウゼヴィッツとその著作『戦争論』にあります。『戦争論』は19世紀初頭に書かれた軍事理論書ですが、その普遍性ゆえに今も世界中の士官学校で教科書として使われています。しかし同時に、極めて難解な書物としても知られています。

石津の功績は、この『戦争論』を日本の読者に分かりやすく伝えたことです。2008年に出版された『クラウゼヴィッツと「戦争論」』(清水多吉氏との共編著)は、クラウゼヴィッツの生涯、思想、『戦争論』の構造を体系的に解説した日本初の本格的研究書でした。この本によって、多くの日本人が『戦争論』の本質を理解する道が開かれたのです。

石津が強調するのは、クラウゼヴィッツの**「戦争は政治の継続」**という命題の現代的意義です。戦争は目的ではなく手段であり、政治目的達成のための道具に過ぎません。つまり、軍事力は政治に従属すべきものです。この原則は、シビリアンコントロール(文民統制)の根拠となり、民主主義国家における軍の在り方を示しています。

また、石津は「戦争の霧」「摩擦」といったクラウゼヴィッツの概念が、現代の危機管理にも応用できることを示します。不確実性に満ちた状況で、不完全な情報に基づいて迅速に決断しなければならない。これは戦争だけでなく、災害対応、パンデミック対策、あらゆる危機に共通する課題です。古典的軍事理論が、現代社会の様々な場面で有用なのです。

私自身、石津の解説を通じて『戦争論』を理解できるようになりました。難解な原著を読む前に石津の入門書を読むことで、クラウゼヴィッツが何を問題にし、何を明らかにしようとしたかが見えてきます。学問の役割は、難しいものを難しく語ることではなく、難しいものを分かりやすく伝えることだと、石津は教えてくれます。


戦略論大系の編纂 世界の戦略思想を体系化

石津朋之のもう一つの大きな業績が、**『戦略論大系』**シリーズの編纂です。2000年から2005年にかけて刊行されたこのシリーズは、クラウゼヴィッツ、ジョミニ、マハン、コーベット、リデル=ハート、マオ・ツォートン、ドゥーエなど、古今東西の戦略思想家を体系的に紹介した画期的な企画でした。

それまで日本では、『孫子』や『戦争論』のような有名な古典は知られていましたが、その他の重要な戦略思想家については断片的にしか紹介されていませんでした。石津が目指したのは、戦略思想の全体像を示すことでした。海軍戦略のマハンとコーベット、陸軍戦略のリデル=ハート、空軍戦略のドゥーエ、革命戦争のマオ・ツォートン。それぞれの思想家が、どのような時代背景でどのような問題に取り組んだかを明らかにすることで、戦略思想の系譜が見えてきます。

この『戦略論大系』は、自衛隊幹部、防衛官僚、大学の安全保障研究者にとって必読の文献となりました。戦略を学ぶ者は、まずこのシリーズから始めるべきだと言われるほど、スタンダードな位置を占めています。

2015年には『10人の思想家から学ぶ軍事戦略入門』を出版。戦略論大系をさらに一般読者向けに分かりやすくした入門書です。孫子、クラウゼヴィッツ、マハン、ドゥーエなど10人の戦略思想家のエッセンスを、現代の事例とともに解説しています。イラク戦争、アフガニスタン戦争、中国の台頭といった現代の安全保障問題を理解するためには、古典的戦略理論の知識が不可欠です。石津の入門書は、その架け橋となっているのです。

私は『10人の思想家から学ぶ軍事戦略入門』を読んで、戦略思想の多様性に驚きました。攻撃重視のクラウゼヴィッツ、防御重視のリデル=ハート、海軍力を説くマハン、空軍力を説くドゥーエ。それぞれが時代と状況に応じた解答を示しているのです。一つの正解はありません。だからこそ、多様な思想を学ぶことが重要なのだと理解しました。


日米同盟と戦略文化 日本固有の戦い方を探る

石津朋之の研究は、古典的戦略理論だけでなく、現代日本の安全保障政策にも及びます。特に重要なテーマが、日米同盟と日本の戦略文化です。

戦後日本の安全保障は、日米同盟を基軸としてきました。アメリカの核の傘の下で、専守防衛に徹する。この戦略は70年以上機能してきましたが、中国の軍事的台頭、北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアの脅威という新たな安全保障環境の中で、再検討を迫られています。

石津が問うのは、「日本固有の戦い方」(The Japanese Way in Warfare)とは何かということです。地理的条件、歴史的経験、文化的特性。これらすべてが、ある国の戦略を規定します。日本は島国であり、資源に乏しく、人口減少に直面しています。こうした制約の中で、どのような戦略が可能なのか。

石津は、日本の戦略文化の特徴として、「防御志向」「技術重視」「同盟依存」を挙げます。専守防衛は日本国憲法の制約でもありますが、同時に、日本人の心性にも合致しています。また、技術立国として、先端技術を安全保障に活用する伝統があります。そして、単独では防衛できない以上、同盟が不可欠です。

しかし石津は、こうした戦略文化の限界も指摘します。防御だけでは抑止力は不十分です。同盟に依存しすぎると、自主性を失います。日本は、自らの戦略を主体的に構築しなければなりません。そのためには、戦略的思考を国民全体で共有する必要があります。

石津の問いかけは重いですが、避けて通れないものです。平和は願うだけでは得られません。厳しい現実を見据え、最善の戦略を選択する。その知的営みに、私たちは参加しなければならないのです。


補給戦の重要性 ロジスティクスという戦略

石津朋之が監訳した重要な書籍の一つが、マーチン・ファン・クレフェルトの**『補給戦』**です。この本は、30年戦争のヴァレンシュタインから第二次世界大戦のパットンまで、歴史上の戦役における補給の問題を詳細に分析したものです。

戦略研究というと、戦闘や作戦に注目しがちです。しかし石津が強調するのは、補給こそが戦争の勝敗を決めるという事実です。どれほど優れた戦略も、兵站が続かなければ実行できません。ナポレオンのロシア遠征、ドイツのソ連侵攻。これらの失敗の主因は、補給線の崩壊でした。

『補給戦』の監訳を通じて、石津は日本の読者にロジスティクスの重要性を訴えました。自衛隊の作戦計画、災害救援、あらゆる大規模作戦において、補給の計画は最優先事項です。弾薬、燃料、食糧、医薬品。これらを継続的に前線に届ける能力がなければ、作戦は崩壊します。

また、現代戦では補給の概念がさらに拡大しています。サイバー空間での情報戦、宇宙空間での衛星利用。これらも広義の「補給」に含まれます。通信が途絶すれば、指揮統制はできません。GPS衛星が使えなければ、精密誘導兵器は機能しません。現代の補給は、物資だけでなく情報とエネルギーを含むのです。

私は『補給戦』を読んで、戦争の本質が見えてきました。派手な戦闘シーンではなく、地味な兵站こそが勝敗を決める。これはビジネスにも当てはまります。営業の前線を支える後方業務、製品を届けるサプライチェーン。見えないところにこそ、成功の鍵があるのです。


防衛研究所での実践 学問を政策に活かす

石津朋之は、30年以上にわたり防衛省防衛研究所に在籍してきました。防衛研究所は、防衛省のシンクタンクであり、安全保障政策の立案を学術的に支援する機関です。石津はここで、戦史研究、戦略研究を行いながら、自衛隊幹部や防衛官僚に対する教育にも携わってきました。

防衛研究所の役割は、単なる学術研究ではありません。それは、実際の政策に資する研究です。日本を取り巻く安全保障環境をどう評価するか。中国の軍事力増強にどう対応するか。サイバー戦争や宇宙戦争にどう備えるか。こうした喫緊の課題に対して、歴史の教訓と理論的分析に基づいた提言を行うことが求められます。

石津の強みは、古典的戦略理論と現代の安全保障課題を結びつける能力です。クラウゼヴィッツの「戦争の霧」は、現代のサイバー戦争における不確実性にも当てはまります。マハンの海軍戦略は、中国の海洋進出を分析する視点を提供します。過去の智慧を現在の問題解決に活用する。これが石津の方法論です。

また、石津は防衛大学校や各種研究機関でも講義を行い、次世代の安全保障専門家の育成にも貢献しています。自衛隊幹部にとって、石津の講義は戦略的思考を学ぶ貴重な機会となっています。軍人は戦術だけでなく、戦略を理解しなければなりません。政治と軍事の関係、国際情勢の分析、長期的視野。これらを教えることが、石津の使命なのです。


現代社会での応用と実践 戦略的思考を日常に

石津朋之の戦略研究は、軍事だけでなく、私たちの日常生活にも応用できます。第一に、目的と手段を明確に区別することです。クラウゼヴィッツが教えるように、戦争(手段)は政治(目的)に従属します。私たちも、行動を起こす前に「何のためにやるのか」を問うべきです。手段が目的化すると、本来の目標を見失います。

第二に、不確実性を前提とすることです。「戦争の霧」は、ビジネスにも人生にも存在します。完璧な情報など得られません。不完全な情報のもとで、最善の判断をする。そして、状況の変化に応じて柔軟に計画を修正する。この能力こそが、戦略的思考の核心です。

第三に、補給(ロジスティクス)を軽視しないことです。派手な成果ばかりに目が行きがちですが、それを支える地道な準備こそが重要です。健康管理、資金管理、人間関係の維持。これらは人生の「補給」です。これを怠ると、いざという時に力を発揮できません。

第四に、歴史から学ぶ姿勢を持つことです。石津が古典的戦略理論を研究するのは、歴史が教訓を与えてくれるからです。過去の成功と失敗から学び、同じ過ちを繰り返さない。これは、個人の人生においても有効な方法です。

第五に、戦略文化を理解することです。個人にも組織にも、固有の文化や特性があります。それを無視して他者の真似をしても、うまくいきません。自分の強みと弱みを知り、自分に合った戦略を立てる。これが成功の鍵です。

私は、石津の著作を読んでから、物事を「戦略的に」考えるようになりました。目標は何か、手段は何か、障害は何か、資源はどうか。こうした問いを立てることで、漠然とした不安が具体的な課題に変わり、対処可能になるのです。


代表書籍5冊紹介

1. 『クラウゼヴィッツと「戦争論」』(清水多吉、石津朋之共編著、彩流社、2008年)

クラウゼヴィッツの生涯、思想、『戦争論』の構造を体系的に解説した日本初の本格的研究書。石津がクラウゼヴィッツ研究の第一人者として執筆に参加。『戦争論』を読む前に、あるいは読んだ後の理解を深めるための必読書。難解な原著の道案内として、多くの読者に支持されています。日本クラウゼヴィッツ学会の集大成とも言える一冊。

2. 『戦略論大系』シリーズ(芙蓉書房出版、2000-2005年)

クラウゼヴィッツ、ジョミニ、マハン、コーベット、リデル=ハート、マオ・ツォートン、ドゥーエなど、古今東西の戦略思想家を体系的に紹介したシリーズ。石津が編著者として各巻の編纂に携わった。戦略思想の全体像を把握するための基本文献。自衛隊幹部、防衛官僚、大学研究者の必読書として、日本の安全保障研究に計り知れない影響を与えました。

3. 『10人の思想家から学ぶ軍事戦略入門』(ダイヤモンド社、2015年)

孫子、クラウゼヴィッツ、マハン、ドゥーエなど10人の戦略思想家のエッセンスを、現代の安全保障問題とともに解説した入門書。戦略論大系をさらに一般読者向けに分かりやすくした決定版。イラク戦争、中国の台頭、サイバー戦争など、現代的事例を豊富に含み、古典が今も有用であることを示しています。ビジネスパーソンにも人気の一冊。

4. 『増補新版 補給戦――ヴァレンシュタインからパットンまでのロジスティクスの歴史』(マーチン・ファン・クレフェルト著、石津朋之監訳、中央公論新社、2006年)

30年戦争から第二次世界大戦まで、歴史上の戦役における補給の問題を詳細に分析した名著の監訳。補給こそが戦争の勝敗を決めるという事実を、豊富な歴史事例で示します。戦略研究の古典的文献として、世界中で読まれています。自衛隊の作戦計画、災害救援、あらゆる大規模作戦の基礎知識として必読。

5. 『戦略論』(ジョン・ベイリス、ジェームズ・ウィルツ、コリン・グレイ編、石津朋之監訳、勁草書房、2012年)

欧米の大学で広く使われているスタンダード・テキストの翻訳。戦争の原因、地政学、インテリジェンス、核戦略など、現代世界の軍事と戦争に関する重要テーマを世界的第一人者が解説。石津の監訳により、日本でも戦略研究の標準的教科書として定着しました。大学の授業でも広く採用されています。


まとめ 戦略的思考で未来を拓く

石津朋之は、30年以上にわたり、戦略研究と軍事史研究に人生を捧げてきました。クラウゼヴィッツの『戦争論』を日本に正しく伝え、世界の戦略思想を体系化し、日本の安全保障政策に学術的基盤を提供してきた。その功績は計り知れません。

石津の仕事の本質は、古典的智慧を現代の課題に活かすことです。19世紀の軍事理論が、21世紀の安全保障問題を考える視点を与えてくれる。過去の戦争が、未来の平和を守る教訓を示してくれる。この架け橋となることが、石津の使命でした。

日本は厳しい安全保障環境にあります。中国の軍事的台頭、北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアの脅威。こうした中で、日本はどのような戦略を選択すべきか。石津の研究は、その問いに答えるための知的基盤を提供しています。

戦略とは、目的を達成するための方法論です。限られた資源で、最大の効果を得る。不確実性の中で、最善の選択をする。こうした戦略的思考は、軍事だけでなく、ビジネスにも、人生にも応用できます。目標を明確にし、手段を選び、状況に応じて柔軟に対応する。これが戦略の本質です。

石津朋之の著作は、私たちに戦略的に考えることの重要性を教えてくれます。感情や希望ではなく、冷静な分析に基づいて判断する。理想を掲げながら、現実を見据える。その両立こそが、真の戦略的思考なのです。

難しい時代だからこそ、戦略が必要です。石津の研究は、その道標となってくれます。古典に学び、歴史に学び、智慧を未来に活かす。その営みを、私たちも継続していかなければなりません。

タイトルとURLをコピーしました