明治天皇の玄孫として生まれ、日本の伝統と皇室の意義を現代に伝え続ける作家がいます。憲法学者の竹田恒泰氏は、『語られなかった皇族たちの真実』で山本七平賞を受賞し、『天皇の国史』では天皇を軸とした壮大な日本通史を描きました。
YouTubeチャンネル「竹田恒泰チャンネル」は多くの視聴者を集め、テレビ番組でも活躍。難しい憲法や歴史の話を、温かく親しみやすい語り口で伝える姿は、幅広い世代の心を掴んでいます。
大学生時代にバグダッドで友人を失い、中国で交通事故に遭遇した経験から「公のために生きる」という覚悟を決めた竹田氏。その人生と思想には、日本人が大切にすべき心が詰まっています。
著者の基本情報
- 氏名(ふりがな): 竹田恒泰(たけだ つねやす)
- 生年月日: 1975年10月15日
- 学歴: 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
- 経歴: 2007年から2014年まで慶應義塾大学大学院法学研究科講師として「憲法特殊講義(天皇と憲法)」を担当、2015年から皇學館大学現代日本社会学部講師として日本国憲法論と現代人権論を担当、2012年YouTubeに「竹田恒泰チャンネル」を開設
- 現職: 作家、実業家、皇學館大学非常勤講師
- 専門: 憲法学・史学
- 紹介文: 旧皇族・竹田家に生まれ、明治天皇の玄孫に当たる。2006年『語られなかった皇族たちの真実』で第15回山本七平賞、2008年論文『天皇は本当に主権者から象徴に転落したのか?』で第2回真の近現代史観懸賞論文最優秀藤誠志賞、2021年第21回正論新風賞を受賞。「たかじんのそこまで言って委員会NP」などテレビでも活躍。『現代語古事記』『天皇の国史』など著書多数。
天皇を軸に描く日本の歴史
竹田氏の最大の業績の一つが、2020年に出版された『天皇の国史』です。この668ページに及ぶ大著は、神代から令和まで、天皇を一本の軸として日本の歴史を描いた壮大な通史でした。
従来の歴史書は、時の権力者を中心とした政治史が一般的でした。しかし竹田氏は、二千年来変わることのなかった天皇を軸として国史を取り纏めることで、全く新しい日本史を提示したのです。「日本の歴史を紐解いていくと、歴史を貫く一本の線があることに気付く。それが天皇である」という言葉が、この著作の核心を表しています。
また、この本のもう一つの特徴は、「日本人の日本人による日本人のための歴史」を目指したことです。これまでの日本史は、外国人が学ぶ日本の歴史のように、感情を排して淡々と綴られていました。しかし竹田氏は、日本人が学ぶ歴史は本来そうではないはずだと考えました。世界最古の国家である日本の歴史を紐解くことは、興奮の連続となる。その興奮を文章に積極的に表すことで、読者は「わかる!」という共感とともに、日本の歴史を自分ごととして感じることができるのです。
考古学、史学、人類学、分子生物学など、最新の学問的発見を盛り込みながら、古事記や日本書紀の詳細な分析から令和の時代まで、圧巻の内容です。読者からは「今まで単調で難解だった日本の通史を初めて完読できた」という声が多数寄せられています。
現代語で蘇る古事記の世界
竹田氏のもう一つの代表作が『現代語古事記』です。この本は、日本最古の書物である古事記を、現代語で読みやすく訳した画期的な作品でした。
古事記は日本人の心の原点ともいえる書物ですが、古い言葉で書かれているため、多くの人にとって難解なものでした。竹田氏は、旧皇族としての独自の視点による解説を加えながら、丁寧な現代語訳で古事記の世界を蘇らせました。「信じられないほど読みやすい」「はじめて最後まで完読できた」という驚きの声が続々と寄せられ、10万部を超えるベストセラーとなりました。
さらに、『古事記完全講義』では、古事記全文をライブで講義した伝説の講演を書籍化。「シュウォウォウォウォン」「ファッファッファッファ」という奇怪な擬音語が出てきたり、話が脱線して進化論の話になったりと、前代未聞・抱腹絶倒のスーパー講義録として話題を呼びました。難しい古典を、ユーモアを交えながら親しみやすく伝える。竹田氏の真骨頂がここにあります。
日本人のアイデンティティを問う
竹田氏の著作で一貫しているテーマは、「日本人とは何か」という問いです。『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』『日本人はいつ日本が好きになったのか』というPHP新書の三部作は、累計70万部を突破するベストセラーシリーズとなりました。
竹田氏が伝えたいのは、日本人が世界に誇るべき精神性です。東日本大震災の時、略奪行為に走らず、規律を持ってお互いを助け合った日本人の姿に、世界中が感動しました。冷静に自分たちの力で立ち上がる姿は、外国人の友人からイエス・キリストやブッダにもたとえられたほどでした。
また、シベリアに抑留された日本人捕虜が建てたウズベキスタンのナボイ劇場のエピソードは、竹田氏がよく語る話です。劣悪な強制労働で死者も多く出る中、それでも日本人は一切手を抜かなかった。その後の大地震で多くの建物が倒壊する中、ただ一つ無傷だったのがこの劇場でした。現地の人は基礎部分まで完璧に仕上げた日本人に畏敬の念を抱き、「将来は日本人のような立派な大人になれ」と子供たちに教育しています。
こうした日本人の精神の高潔さ、もの作りへの誠実さ、互助の精神。これらは世界に誇るべき日本の宝だと竹田氏は語ります。グローバル化の時代だからこそ、日本人は自国の文化と伝統を知り、それを大切にしていくべきなのです。
憲法学者として問い続ける天皇と憲法
竹田氏の本職は憲法学者です。慶應義塾大学大学院では、恩師である小林節教授と共に「憲法特殊講義(天皇と憲法)」を担当しました。その成果が、小林教授との共著『憲法の真髄』です。
この本では、「護憲派」も「改憲派」も根本的に間違っているという刺激的な視点から、立憲主義、主権、元首、人権、九条問題の本質を問い直しています。師弟激突の形式を取りながら、憲法の本質を深く掘り下げた一冊です。
竹田氏の憲法観の特徴は、象徴天皇や愛国心といった根本的な価値にまで踏み込んではいけないという慎重さにあります。憲法9条については、政府解釈によるなし崩し的な拡大解釈を止めるために見直し、自衛隊の活動原則を明記すべきだと主張する一方で、憲法1条の象徴天皇や憲法13条の幸福追求権は大切にすべきだと説いています。愛国心や道徳観念を憲法に盛り込むことには疑問を呈しており、バランスの取れた視点が特徴です。
「憲法は、国民ひとり一人が幸せになるための道具であり、常に批判的な目で見ることが大切」という竹田氏の言葉は、憲法を自分たちのものとして考える大切さを教えてくれます。
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竹田恒泰の人生観と生き方の哲学
竹田氏の人生観を形作った重要な経験が、大学生時代にあります。イラク戦争が始まる直前、バグダッドへ行く機会があり、その時に友人50名を失いました。また、中国でバスが正面衝突事故を起こし、5名の方が亡くなった現場にも居合わせました。たまたま後方の座席だったため生きていましたが、前方の座席であったら亡くなっていたかもしれない。
その時、竹田氏の心の中に「公」という意識が芽生えました。生きているということがどれだけ幸せなのか。せっかく日本人に生まれたのだから、日本の国のために生きてみよう。そう決意した竹田氏は、当時経営していた会社を全て辞め、言論の道に進むことを決めました。「ペンは剣よりも強し」という言葉を信じて、どこまでいけるかやってみようと。
また、竹田氏は日本人ならではの美意識も大切にしています。太い万年筆と細い万年筆の2本を常に持ち歩き、手間のかかるメンテナンスを楽しんでいます。この一見無駄なものを楽しむという考え方は、日本人の奥ゆかしさや風情を楽しむ文化に通じています。財布も山梨県で武士の甲冑を作る技術で作られた漆の財布を使用し、1年に1度新調して若い世代にお譲りしています。「お金さんに気持ちよく入ってきてもらう」という考え方に、竹田氏の人生哲学が表れています。
代表書籍紹介
1. 『天皇の国史』(PHP研究所、2020年)
竹田氏の集大成ともいえる668ページの大著です。神代から令和まで、天皇を軸に日本の歴史を俯瞰した唯一無二の通史。「日本人の日本人による日本人のための歴史」として、興奮を込めて書かれた文章は、読者の心を掴んで離しません。考古学や分子生物学など最新の学問成果を盛り込んだ力作で、文庫版も上下巻で刊行されています。
2. 『現代語古事記』(学研、2011年)
10万部を超えるベストセラーとなった古事記の現代語訳です。「信じられないほど読みやすい」と評判を呼び、旧皇族ならではの独自の視点による解説も読みどころ。古事記を初めて完読できたという読者が続出しました。ポケット版も発行され、長く愛され続けている一冊です。
3. 『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』(PHP新書、2011年)
累計70万部を突破した「日本がわかる」三部作の第一弾です。日本人の精神性、もの作りへの誠実さ、互助の文化など、世界に誇るべき日本の特質をわかりやすく解説。読後には日本人であることに誇りを感じられる温かな一冊です。
4. 『語られなかった皇族たちの真実』(小学館、2006年)
第15回山本七平賞を受賞した竹田氏のデビュー作です。旧皇族の末裔として、皇室が2000年続いた理由を初めて明かした画期的な著作。皇族たちの知られざる姿を、温かなまなざしで描いています。文庫版も刊行され、多くの読者に読み継がれています。
5. 『憲法の真髄』(ベストセラーズ、2014年、小林節氏と共著)
恩師・小林節教授との師弟対談形式で、憲法の本質を問い直した一冊です。「護憲派」も「改憲派」も根本的に間違っているという刺激的な視点から、立憲主義、主権、元首、人権、九条問題を深く掘り下げています。憲法を自分の頭で考えるきっかけを与えてくれる良書です。
まとめ 日本の心を未来へ繋ぐ
竹田恒泰氏の人生と思想は、日本の伝統と文化を大切にしながら、それを現代に活かしていくことの大切さを教えてくれます。明治天皇の玄孫という立場でありながら、難しい話を親しみやすく語る温かな人柄は、多くの人々に愛されています。
『天皇の国史』で示された、天皇を軸とする日本の歴史観。『現代語古事記』で蘇らせた、日本人の心の原点。そして憲法学者として問い続ける、国民主権と象徴天皇の調和。竹田氏の活動は、日本人が自国の歴史と文化を知り、誇りを持って生きることの大切さを伝え続けています。
2026年現在、グローバル化が進む中で、日本人のアイデンティティが問われています。自国の文化を知らずに、真の国際人にはなれません。竹田氏が語り続けてきた日本の精神性—互助の心、もの作りへの誠実さ、公のために生きる覚悟—は、混迷する時代だからこそ、私たちが大切にすべき宝物です。
バグダッドと中国での経験から「公のために生きる」と決意した竹田氏。その生き方は、私たち一人ひとりに問いかけています。あなたは何のために生きますか? 日本人として、どんな価値を大切にしますか? 竹田恒泰氏の言葉と著作が示してくれる、そんな大切な問いを胸に、私たちも明日を生きていきたいものです。
日本の伝統と現代を繋ぐ架け橋として、これからも多くの人々に希望と誇りを与え続けてくれるはずです。
ここまで、時間を分けてくださり、ありがとうございます。
もし、まだ少しだけ余白が残っているなら。
もうひとつの視点を。
この言葉が、あなたの中でゆっくり馴染んでいきますように。
それぞれの一日を大事に、ありがとうございました。


